「石化した森」

制作者:マックス・エルンスト

材質、技法、形状:油彩、カンヴァス

制作年:1927

所蔵場所:国立西洋美術館

私が取り上げる作品はマックス・エルンストの「石化した森」である。今回はこの作品について述べていきたい。

制作者のマックス・エルンストはドイツ出身のシュルレアリスムを代表する画家の一人である。

この作品は第二次世界大戦の前に制作された物である。油彩で描かれており、木々の幹には絵の具を数層に重ねて塗ったカンヴァスを質感を移したい素材の上にのせ、何かで絵の具を削ることで下に塗った絵の具を浮かび上がらせる「グラッタージュ」という技法が多用されている。

彼は森を好んで主題として扱った。この「石化した森」も森を主題としており、鬱蒼とした森から太陽が透けて見えるイメージは得体の知れない不安を呼び起こす。

解説のなかに彼が持つ森のイメージが書かれていた。そこには 「父に連れられて現実の森の中にはいったときの魅力と恐ろしさはいつまでも忘れられなかった。広大な空間の中でゆったりと呼吸することの素晴らしい喜び。それとともにある、木々の檻の中に閉じ込められているという苦悩の感覚。自由であり、囚われてもいる」と書かれていた。

私がこの作品を見たとき、私は暗闇に包まれた森に月明かりが差し込むような夜の森を表現していると思った。しかし、解説を見てみると私が月だと思っていた物が太陽であると言うことに気がついた。改めて見直してみると、太陽の外側に光冠が確認できた。

私も森に入ると癒やされるのと同時に恐怖を覚える。なぜなら、森では人も一匹の動物に過ぎず、森の前では基本、人間は無力である。それ故私は森に入ると一抹の不安を覚える。彼は森だけではなくこのような深層心理を絵の中に取り込み、本来の森をデフォルメして表現したのではないかと私は考えている。

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